*告白










「鋼の、起きなさい」
「…………」
「そんな格好のまま寝たら風邪を引く。ほら、起きるんだ」
「………………」

 そう言いながらロイは少年の抱え込んだシーツをぐいと引っ張ってみるが、存外に彼の力は強くぴくりともしない。
規則正しい寝息をたてている少年の顔を見ていると、それ以上声を掛けるのも躊躇われて、ロイは小さくため息をついた。
シャワーを浴びたあと、乱暴に拭いただけの髪から、小さな水滴がしたたった。

「やれやれ……こんな格好はまだ子供なのに」

自分のベッドを占領してすっかりと寝入ってしまった少年を見下ろして、ロイはそう呟く。
いつもはきっちりと編んでいる金色の髪も、今はシーツの上で解けてしまっている。
しわだらけになったシーツの波に埋もれてはいるものの、ふと手を伸ばしたくなるような輝きを宿していた。

 伏せた目蓋はほのかに青白く血管が浮かんでいる。
けれども赤みの差した頬は彼が安らかな眠りの中に居る事を示しており、ロイはひそかに安堵した。

 それにしても、とロイは考える。
 なにもシーツをしっかりと抱え込んだまま眠らなくてもよさそうなものを。

 少年は上掛けを両腕に抱きしめるような格好で、眠りに落ちていたのだ。
ここ数日、上掛け無しでは肌寒い夜が続いている。放っておくと風邪を引いてしまいそうだ。

「まったく……せめて寝間着くらい着たらどうだ」

しかもその上半身には何もまとわず、剥き出しの白い肩がロイの目に寒々しく映った。
辛うじて下着だけは身につけたのだろうが、だらしなく延ばされた足は、片方がベッドから殆どはみ出しかけている。
とんだ寝相だと苦笑しながらロイは、さてと両手を腰に当てた。

 ベッドの中で互いに熱を高め合ったのはつい半刻ほどまえの事。
半年ぶりに顔を合わせた少年は、記憶の中の姿よりも輪郭の丸みがとれていた。
おまけにロイを組み敷く腕も足も、力が強くなっていた。
少しずつ、だが確実に少年は成長している。

 とはいえロイから見ればまだ子供の範疇を超えてはいないエドワードに、体力的にも体術の面でも劣ることなどない。
少年に組み敷かれているのは、強く彼がそういった行為を望んだからで、またロイがそれを許容したからだった。

 幾度目だろうか、彼と体を繋いだのは。

 そう考えて、ロイは片手の数よりは多いものの、まだ両手には満たないのだということに思い当たった。
考えていた以上に少ない。
彼とのそういう行為は、ひどく密度の濃い時間をロイに過ごさせた。だからもっと長い時間を、彼と過ごしている気がした。
そんな自分に思わずロイは、苦い笑みを溢した。

 それも道理だった。

 エドワードが彼の弟と共に旅を続けており、東方市に居ること自体が珍しいからというのが、その主な理由だった。
東方司令部在籍の身としては、少年達の身を案じながらも、彼らの不定期な訪問をただ待つしかできない。
せめて定期的に連絡でも寄越せばいいものを、何度言っても彼らは聞き入れることは無かった。
いつも唐突にロイの前に現れては、慌ただしく次の街へと旅だってゆく。

 こんな事ではゆっくりと身体を休めるヒマもないだろうに、というのはただの老婆心だ。
短い滞在の間にも、いつの間にか少年はロイの自宅を訪れるようになっていた。

 まさか自分が少年の行動を受け入れる事になるとは、思ってもいなかった。
初めて身体を繋いだとき、エドワードはとても驚いた顔をしていた。
けれど真実は、他ならぬロイが、自分の行動により驚いていたのだ。
いくら彼が望んだところで、ロイがはねつけていれば決して成立はしない。
こんな関係が成り立っているのは、他ならぬロイが少年を受け入れたからだ。
絆されて、というのは、少年の見解だ。
きっとエドワードは、ロイが同情やそれに近い感情で彼を受け入れているのだと考えているのだろう。
なぜならばロイもそのように振る舞っているからだ。

 けれど。
 ロイは知っている。

 同情なんかで、同じ性を持つ年齢が半分ほどの少年に、身体を明け渡すなんてことが出来る筈がない。
彼は根本で大きな考え違いをしているのだ。

 ならば、彼がロイに対して持つような恋情を抱いているのかと言うと、そうでもなかった。

 今まで自分は同性をそういう対象として見たことがないし、エドワードが悩みながらも、ロイと身体を重ねたいのだと白状した瞬間まで、考えた事も無かった。

 なのに今はどうだ。

 少年の熱を受け入れ、身体を重ねる行為に少なからず充足感を得ている。
 手足もまだ成長途中で、未成熟な子供に組み敷かれて。
 ロイは小さく笑った。けれども、それは自嘲のものではない。ただ不思議だなと感じただけのことだ。
 この思いがなんなのか、ロイにも分かってはいなかった。
彼に対して愛情を抱いているのは間違い無い。

でも。

『好きだ、大佐』

彼は真っ直ぐにロイに言葉をぶつける。驚くほど素直で暖かな言葉だ。

 一方ロイは返す言葉を持たない。
 投げられた言葉に戸惑うロイを、しかしエドワードは笑って見つめる。

『いいんだ、俺が言いたいだけだから』

許されることにほっとして、同時にちくりと小さな痛みをロイは感じていた。

 一方的な思いを、ただロイが受け止めているだけだと考えている少年に対して。
 言葉を返すことが無くても仕方ないと諦めている少年に。
 けれどもそう彼が思っていることに、どこか安堵している自分自身に。

「このままじゃ、こっちまで風邪をひいてしまう」

仕方がないなと呟いて、ロイはクローゼットの扉を開いた。
引っ越してきた時から開けてさえいない段ボールの山の向こうから、やっとのことで予備のシーツを取り出す。
思ったよりも奥にしまい込んでいたようだ。

 まだ数回しか使っていない代物だ。
洗って仕舞ったまま冬まで置いておこうと思っていたのだが、少し早めに出すとしよう。
軽く鼻を付けて匂いを確かめる。かび臭い匂いは無いようだ。
ロイは小さく頷くと、ベッドの上で丸くなってシーツを抱え込んでいる少年に、ふわりと新しい上掛けを被せた。
剥き出しの肩を覆うように着せかけられた上掛けに、もぞ、とエドワードが身じろぐ。
しかし目の覚める気配はなく、寝息の乱れる様子もない。

 ロイは少年を起こさないようにとそっとベッドに体重を掛けた。
このシーツは少し大きいものだから、二人で被っても窮屈ではないだろう。
彼の傍らにもぐりこんで、自分も安眠を貪ろうかと考えた時だ。

 つ……、と身体の奥底を、何かが伝った。

 びくり、とロイの背筋が震える。
傍らのエドワードを起こさないように極力静かに、けれど素早く起き上がってベッドから降りると、溢れたものはロイの太ももの内側に伝った。
そうして初めて、ロイは自身の足の間に流れるものの正体を悟ったのだ。

「まさか……」

一気に頬まで熱が上る。
ロイの足を伝うのは、先ほどの行為の名残だった。
 さっきシャワーを浴びたときに処理をしたはずだった。
詳しい知識としては知らないが、違和感が残るのを嫌ったロイは、いつも自分で掻きだして後始末をしていた。
勿論少年の居ない風呂場などでだ。

 けれど、どうしても自分の指で処理をするという行為に抵抗感のあったロイは、完全に始末しきれなかったのだろう。
少年の残滓が、今になって溢れてきたのだ。
 内ももを伝う生ぬるい感覚に、ロイは小さく呻いた。
浴室で処理するのとはまた違った感覚が、ロイを苛む。
あまりにも生々しいそれは、忘れた筈の熱を、微かに呼び覚ました。

熱がぶり返す気配がある。
おまけにこのままでは、寝間着を汚してしまう。

「…………っ」

ロイは下腹部に力を込めると慎重に立ち上がり、再び浴室へと向かうために踵を返した。

 その時だった。

「な、」
「どうしたんだよ、大佐」

唐突に手首を捕まれて振り向くと、そこには目を擦りながらベッドに起き上がる少年の姿があった。

「何でもない。手を洗いに行くだけだ」
「ん?……でもさっき風呂入ったばっかだろ」
まだ半分寝ぼけているのか、ふわあと大きな欠伸をしてみせた少年に気づかれないように、そっとロイは身体を引く。
距離を取って、彼がロイを解放する事を期待して、だ。
 けれども掴んだ腕をエドワードは放す気がないらしく、むしろ力を込めてロイをひきよせた。

「何、新しいシーツ出したんだ。寒かったのかよ」
「君がその上掛けを抱えて、放さなかったからだろう。私に風邪を引かせる気か?」
「あそっか。悪い、」
「うわっ」

不自然な体勢でいたところに突然力を込められ、ロイはバランスを崩してベッドへとなだれ込んだ。

「待て鋼の、」
「何だよ」
「だから私は手を洗ってくると言って………あっ」
「……大佐?」

ベッドに膝をついたロイは、再び溢れてきた残滓の感覚に耐えるように、きつく目を閉じた。
とろりと内腿を伝う感覚が、ロイを総毛立たせる。
寝間着どころか、このままではベッドまで汚してしまうと、ロイは顔を青ざめさせた。

「いいから放せ、鋼の」

振り払おうとした腕は、だがより強い力で引き寄せられた。

「どうしたんだよ大佐」
「どうしたもこうしたも、放せと……んんっ」

ぞくり、と背骨が震えた。
ロイの意に反して、身体は快楽の名残を追いかけたがっている。
腕を抱え込むようにして自分の身体を庇うロイに、少年は容赦ない行動を取った。

「大佐、ちょっとごめん」
「やめ………鋼の!」

制止も声もむなしく、エドワードは生身の手でロイの内腿に、触れた。
湿り気を帯び、濡れて腿に張り付いた寝間着が、ロイの身体に起きている事をエドワードに知らせる。

「………大佐、」
「だから、放せと言っただろう。直ぐに始末してくる」
軽く目を見張った少年から、赤くなった顔を精一杯反らせて言った。
けれど、エドワードは一向に、ロイの腕を解放する気配を見せない。

「鋼の…!」

放してくれないか、と口を開いたロイは、肩を掴まれてそのままぐいとシーツに押しつけられた。
思わず咎める声をあげたロイに構わず、馬乗りになる格好でエドワードは顔を近づけた。

 下敷きになったロイを見下ろしてくる少年は、耳まで真っ赤にしたまま、それでも真剣な眼差しでロイを見つめた。

「ごめん大佐……俺、そういうことまで考えてなくて」
「構わない、別に気にしていない」

言い方が素っ気なくなるのは、この場合仕方がないだろう。
ただ一刻も早く解放されたいと願うロイは、少年の瞳の奥に点った熱に気づくのが遅れた。

「は、がね……の!」

気がついたときには、少年の手がロイの下衣にかかっていた。
驚いたロイの目に映ったエドワードは、見覚えのある熱を宿した瞳で、ロイを見下ろしていた。

「ごめん大佐、俺……」
「謝るくらいなら放せ」
「だから、ごめん。俺今めちゃくちゃ大佐としたい」

ちょっと待てそれは卑怯だろうという物言いは、降ってきたエドワードの唇にふさがれた。
熱を孕んだ少年の舌にまさぐられ、ロイは軽く息を詰めた。
 性急な指がロイの下肢を探る。
いたたまれなさに身をよじったロイは、けれども不意に込められた肩への力に、彼の身体をはねのけるタイミングを逃した。
 エドワードの指は、身じろぐロイの動きをかき分け、ついに先刻まで彼を受け入れていた箇所を探り当てた。

「よせっ……!」
「濡れてる」

感嘆したような少年の呟きに、ロイの頬に熱が上る。
と同時に、まだ柔らかさを残しているその場所へと指先がゆっくりと沈められた。

「うぁ…………、く、」

思わず背が弓なりに反る。
先ほどの名残があるとはいえ、それでも充分すぎるほどの圧迫感がロイを襲った。
じわじわと押し進んでくる指先は、ゆっくりとだが確実にロイの内側の粘膜に触れてくる。

 拒もうとでも言うのか、思わず締め付ける動きを見せたロイに、少年は却って煽られたようだった。
じくじくと疼く場所を一息に開かれ、ロイは声もなく呻いた。
 同時に覆い被さって来た少年の下肢が、下着越しに信じられない程の熱を持ってロイの大腿部に押しあてられる。
すっかりと欲の形へと姿を変えた少年自身が、ロイに彼の本気を伝えてきた。

 ぞくりと背筋に震えが走る。

「俺が」
「がっつく……な…鋼の…!」

差し込まれた指は、馴染んできたのを感じたのか、ゆっくりと裡側からほぐすような動きで前後した。
残滓で未だ濡れている場所は、入り口を擦るたびに濡れた音が小さく響き、ロイをより一層いたたまれない気持にさせた。

 浅い場所からより奥へと進んできた指を、ロイは反射的に締め付けてしまった。
うねるように動いた内壁が、エドワードの指で捏ねられる。
思わず上がりかけた声をどうにか呑み込んだロイは、きつく眉を寄せて目を閉じた。

「嬉しいんだ……俺」

圧迫感とともに、まだ熱の名残が散らばる裡側を探られて、ロイは大きく肺を喘がせた。
敏感な粘膜は次第にエドワードの指に絡みつき、しっかりと包み込んでは奥へと誘う動きを見せ始めていた。
それと同時に、ロイは自身の息が熱を帯び始めるのを感じた。
そんなロイの意識を引き戻したのは、エドワードの意外にも落ち着いた声だった。

「大佐は……いつも俺を受け入れてくれる」
「鋼の…………?」

過剰な刺激に流されかけたロイは、少年の口調に違和感を覚えて目を開いた。
目の前のエドワードは、熱に浮かされながらも、どこか苦しそうに顔を歪めていた。

「でもシャワーを浴びたあとの大佐は、それまでの出来事が全部無かった事みたいに何時も通りだろ」
同じ熱を分け合って、高め合ったことさえも流し去って仕舞ったかのように。

 そう言うとエドワードは小さく笑った。
周囲に光が満ちるような、何時もの笑みではない。何処か影を孕んだ、淋しげな笑顔だ。
 ロイは小さく目を見張った。
どうして彼はこんな笑い方をするのだろうか。
屈託を感じさせない、いつもの笑顔は何処へ行ったのだろうか。

 もしかしてロイ自身が、彼にこんな顔をさせているのだろうか。

 けれど、それはロイの本意ではない。

 エドワードには、笑っていて欲しい。
太陽のように周りに光を振りまく、心からの笑顔で。
それがロイの、エドワードに対する一番強い願いだ。

「そんなの仕方ないし、俺ばっかり大佐に触りたいのも分かってるんだけど、さ」
でも。
「俺は大佐にこんな無理させてたんだって、でも大佐はそれを許してくれたんだろ……?」
「馬……鹿者っ」

朱色に染まった目元から、鋭い眼差しがエドワードを射る。
きついそれに僅か息を飲んだエドワードに向かって、片手が振り上げられた。

「………っ」

殴られる、と思った瞬間、ロイの手は軽い音を立てて少年の頭をはたいていた。

「私をなんだと思っているんだ」

「た……い、さ」
「私が君のためにこんな行為を許して、あまつさえ身体的にも精神的にも負担を掛けられているけれど、君が子供で仕方がないからそれを受け入れているなんて、」
一度言葉を句切ると、目を丸く見開いたままのエドワードを正面から覗き込む。

「私はそんな自己犠牲の精神の持ち主じゃない」
「…………え」

エドワードは軽く目を見張った。その驚いたような反応に、ロイは少しだけ気をよくする。
そう、君は知らなかったのだろう?こんな簡単なことを。

「もしくは伊達や酔狂でこんな事をしているとでも思っていたのか、君は」
「あの、大佐、俺、」
「だとしたら君は本当に大馬鹿者だ」

そう言うとロイは、呆然とした少年の腕を掴んで、体内に沈められていた指を一息に抜き去った。

「……くっ」

途端に身体を襲った感覚に、ロイは小さく眉をしかめる。

「大佐、そんな無茶……!」
「煩い、いいから君は黙っていろ」

エドワードの肩を掴んでロイはシーツに押しつけた。
今度はさっきとは逆の体勢を取ったロイが、見下ろす格好だ。
抵抗することも忘れ、されるがままの少年の下着に、ロイは唐突に手を掛ける。

「……大佐、」
「動くな」

そのままエドワードの下衣を取り去ると、ロイは彼の中心へと顔を近づけた。

「大佐、やめ……!」

芯を持った少年の熱に唇を触れさせる。
瞬間、びくんと大きく震えたのは自分なのか、彼なのか。
頭上で制止の声が上がるのを聴いたが、それを聞き入れてやるつもりは毛頭なかった。

「あ………大佐、や、っく……」

ゆっくりと唇をエドワード自身に被せてゆく。
呑み込まれてゆく感覚に、エドワードが小さく声を漏らした。
 それは酷く耳に心地よく響いて、この手で少年の熱をコントロールしているのだと考えると、歓喜にも近い感情がわき起こってくるのをロイは感じていた。

 このような行為を少年に強いられた事は無い。
むろん強いられたとて、意に染まぬ行為は毛頭認めるつもりもないロイのこと、もしも求められたとしたら、拳骨の一つか二つは見舞っている所だろう。
 けれどこうして自ら進んで少年の熱を煽ってみると、驚くほど没頭している自分がいた。

「やめっ……も、ぅ……!」

引き離そうと肩に置かれた手は、けれども力が入らないのか添えられるだけといった状態だ。
ロイはエドワード自身を全て含むと、時間をかけてゆっくり吐き出していった。
口腔全体で締め付けるように、ぬるりと舌を這わせる事も忘れない。
 あからさまに震えて、少年の欲熱は更に力を増した。
ぬめりが溢れだしたのを感じたロイが、舌で丁寧に舐め取る。

「大佐……っとに、」

神経の密集した場所を弄られたエドワードが、堪えきれないのか小さく呻いてロイを呼んだ。
顔を上げると、少年のものなのか唾液なのか、銀の糸が延びやがてぷつりと途切れる。
 ロイは身体を起こして、少年の両脇に足をついた。

「君がどう思っているか知らないが」

覗き込んだ少年はすっかりと頬を上気させ、快楽に溶けた表情でロイを見上げた。
ロイは満足げに微笑むと、自身の奥底へと彼の熱を誘い、迎え入れるためにゆっくりと腰を下ろし始めた。

「うあ、あ……!」

小さく呻いたのはエドワードだった。
まだ充分に準備の整っていなかったロイは、小さく唇を噛んでその衝撃に耐えた。
肉体的には多少の無理があるものの、与えられる快楽に眉を寄せて耐えるエドワードを見と、ぞくぞくと背筋に震えが走った。

 先端の張りだした場所を呑み込んでしまえば、後はすんなりと全てを受け入れる事ができた。
息を荒くしてロイを見上げてくるエドワードの頬に、そっと手を差し伸べる。

「私が本当に欲しいと思わなければ、こんな事をするわけがないだろう?」

はっとしたように少年の目が見開かれ、そして笑顔に変わる。

「………ごめん、大佐」
「だから謝るなと、」
「違う、今のは俺が勘違いしてた分」

上体を起こしたエドワードは、そう言ってロイにキスをした。
幾度か角度を変えて併せられた唇は、やがてどちらとも無く深い口づけへと変わる。

「やべ……も、限界」

そう呟いた少年は、いきなりロイの肩を掴んでベッドに押しつけた。 

「ひ、ぁ……っ」

 角度が変わって乱暴に奥を抉られたロイは思わず声を漏らす。
覆い被さったエドワードが再びロイへと口づけ、そのままの姿勢で性急に穿ちはじめた。

「………っつ」

苦しさもあるが、それ以上に今彼を受け入れたいという思いが勝った。
ロイは少年の背中へと腕を回すと、自ら腰を押しつけて揺らし始めた。

「大佐っ……」
「っとに、……君は、手のか……かる」
「うん」
「付き合い、で……こんな事」
「うん、分かった」

これ以上はないくらいに嬉しそうに笑ったエドワードは、幾度目になるか分からないキスをロイにした。

 返す言葉を奪われたロイは、少年の背中に回した腕に、より力を込めた。
 今は言葉にできないこの思いが、どうか彼に。
 伝わるように、と。 


 



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