sewing 〜after〜
※20090504発行の「sewing」後半の話です。
書ききれなかったシーンを掲載していますが、内容はR18部分のみとなっています。
18歳未満の方、脈絡のないそういうシーンがお嫌いな方は閲覧をご遠慮ください。
鈍い音と共に、腰の僅か下あたりへ襲った衝撃が、ロイの意識を現実へと引き戻した。
少年の熱を受け止めてキスを交わしている間に、背後にあった流し台の縁にぶつかったのだ。
「痛……ッ」
思わず低くうめいたロイに、エドワードは重ねていた唇を解放した。
「何?ぶつけたのかよ」
どんくさいな、と軽口を叩く少年をロイは軽く睨みつける。
不服げなその様子に小さく吹き出し、エドワードはロイの下衣へと左の掌を滑り込ませた。
「どの辺ぶつけたんだよ……此所?」
ゆったりとした寝間着は、悪戯な手の動きを妨げることなく、容易くその侵入を許した。
風呂上がりの為か、まだ湿り気を帯びた肌に指が這い、打ち付けた箇所を撫でる。
そのままかがみ込んだ少年は、僅かに引き下ろした下衣から覗いた、尖った腰骨に唇を押しつけた。
「鋼の……、」
可愛らしい音をたてて幾度もキスをする少年の、金色の髪にロイの指が絡む。
掌はさわさわと腰の辺りを撫でて鈍い痛みを打ち消してくれたものの、新たに生まれた別の熱を鎮めるには、全く役に立たない。
口を開けたエドワードは、目の前にある形の良い腰骨に、じわりと歯を立てた。
「………っ」
途端に、大仰に腰が跳ねる。かがみ込んだエドワードが歯形の付いた場所へと舌を這わせながら、ロイを見上げた。
「おい、鋼の、……いい加減に」
「何?さわって欲しい?」
半端にずらした寝間着を、変化したロイの熱が内側から押し上げている。
見上げたロイの目にあからさまな欲が滲んでいる事を確かめ、エドワードは機械鎧の指先で、その場所をそっと下から撫でた。
「あ、」
布の上からの曖昧な刺激にすら、ロイは小さく吐息を漏らした。
びくり、と震える腰骨にかみついたまま、布越しにエドワードはその熱欲を握りこむ。
ちりちりと、まぶたの裏で小さく何かが火花を散らす。
ロイはそれを払うように頭を振った。
まとわりつく快楽がだるく、そして物足りなかった。
けれども言葉にするにはどこか腹立たしさが邪魔をして、掴んだ少年の腕に爪を立てた。
「っつ、」
鋭い爪が生身の皮膚に食い込んだのだろう。
小さく舌を鳴らしたものの、エドワードは構わずロイを刺激するために指を動かす。
掌の中で大きく脈打ったロイの中心を確かめ、エドワードはやはり下衣越しにゆっくりと唇を被せてゆく。
「な、……に、」
薄い布を隔てて、ロイの熱さがエドワードの舌に伝わってきた。
押し上げられた先端は、触れる前から濡れている。きっと彼自身からにじみ出ている先走りの為だろう。
「やめ……は、がねの……っ」
ぎゅ、と髪を捕まれてエドワードは僅かに顔をしかめた。
が、咥えたものを解放してやるつもりはない。
布越しにたっぷりと唾液を絡めてから、唇で根本を締め付けた。
ロイの指が、背後の流し台の縁を強く握りしめて白くなる。
少年の口元から濡れた音がひっきりなしに響き、どうしようもなく官能を煽った。
このまま彼の意図どおりに上りつめるのも癪で、ロイは自分にできる抵抗はないかと思考をめぐらせる。
けれども布越しの緩慢ともいえる刺激は、それを久しぶりに受ける体には充分すぎるものだった。
きつく唇を噛んで堪えていたロイが、ついに音を上げた。
「鋼の……や、も……放、せ…!」
切羽詰まった響きに、エドワードは小さく笑みをこぼす。
「……いいぜ」
充分に濡れたと感じた少年は、ようやく顔を上げた。
ロイは詰めていた息を吐き出し、荒く肩を上下させる。
少年の唾液と自身の溢したもので濡れて色濃くなった寝間着は、ロイの熱にぴったりと張り付き、その興奮した形を如実に再現している。
微かに震えているように見えるのは、より強い刺激を求めているのか、それとも解放が近いためか。
「なんか、脱いでないのに、余計」
煽られる、と呟けば、息を荒げた大人が目元を紅潮させた。
「鋼の」
咎める響きを感じ取り、少年はすかさず伸び上がってロイへと唇を重ねる。
「ほら、アンタのここ」
「よせ、しつこい……ぞ、君……!」
濡れて張り付いた布の感覚が不快なのに、またその上から握り込まれた。
神経の密集した先端を布越しに擦られると、荒い繊維のざらざらとした刺激がロイの肩をふるわせる。
終わりが近いことを感じて、ロイは少年の手から逃れようと体をよじった。
「あ、やめっ………ぁああッ」
だが押さえ込む力はゆるむことなく、幾度か腰をふるわせてロイは果てた。
下着の中に吐き出された精は、触れていたエドワードにもその熱を伝えた。
流し台伝いに、ロイは崩れるようにしゃがみ込む。
短時間に与えられた急激な高まりは、ロイの体を昂揚させこそすれ、同時に疲弊もさせていた。
微かな苛立ちが宿っているのを感じ、それを隠そうとする努力も放棄してロイはエドワードを睨んだ。
「……止めろと言っただろう」
「でも気持ち良かったろ?」
「そういう問題じゃない」
きつい眼差しを躱して、エドワードはロイの下衣を下着ごと引き抜いた。
用意していたオイルで指を濡らし、ロイの足の付け根へと進ませる。
「ちょっと腰あげて、大佐」
眼差しのきつさはそのままに、意外にも素直に従ったロイの奥へと指先で触れると、少しだけ体が強ばるのを感じる。
「久しぶりだから、ゆっくり、な」
「余裕、だな………っ」
語尾がかすれたのは、エドワードの指がロイの中へと押し込まれたからだった。
「無理させたく、ないから」
「偉そ、うな……事を」
慣らす為の指ですら、久しぶりの体には充分すぎる違和感を植え付ける。
けれども息を吐きながら受け入れ、ロイは向かい合った少年の首へと腕を回した。
「何……大佐?」
「早く、しろ」
「え?」
「欲しかったのは、君だけだとでも思っているのか」
睨みつけてくる表情はいっそ憮然とさえ見えるのに、掛けられる言葉は驚くほどエドワードを煽った。
この意地を張った大人が、それでも真っ直ぐに自分を求めているのだ。
昂揚する気持ちを抑えることもせず、エドワードは口元に笑みを浮かべた。
「……きつくても、知らねーからな」
「勿論、だ……ア、」
引き抜かれた指と入れ違いに、少年の熱が押し込まれる。
「く……」
「ちょ、大佐……キツ…」
酷い圧迫感に唇を噛んで耐えるロイは、それでも少年を迎えようと懸命に強ばった体から力を抜く。
まだ完全に慣らされていない内側に呻いているのはエドワードも同じで、全てを埋めてもなお肩で息を整えていた。
そんなエドワードの表情を目にして、ロイは自分の中にあった苛立ちが、解けるように消え失せていくのを感じた。
――そうか、私は、
一方的に与えられるだけではなく。
求めていたのはこの感覚なのだと。
「も……大佐…ッ」
不意に強く抱き寄せられて、ロイは目の前の少年の肩にしがみつく。
粘膜から伝わる少年の鼓動が、ロイをひどく淫らな気持ちにさせた。
「………っ」
その瞬間、内側に熱い飛沫が散ったのを感じた。
あまりにも狭い内側に耐えきれず、エドワードが果てたのだ。
あっけなく自身を解放した少年は、照れくさいのかロイを抱きしめた腕を解放しようとしない。
「鋼の?」
「………アンタがっ」
「?」
「アンタが悪いんだからな」
かろうじて見える耳朶が真っ赤に染まっているのを見て、ロイは小さく笑った。
「笑うな!」
「違うよ、嬉しかったんだ」
だって。
ロイはまだ腕の力を弱めようとしない少年の耳元に、そっと唇をつける。
「私だけが欲しがってるのも、癪だからな」
「……アンタって!」
内側で再び力を取り戻したエドワード自身を故意に締め付けながら、囁く。
「まだ、終わりじゃないんだろう?」
「……当たり前だ!」
憮然と言い放ち、エドワードはロイの体を床へと組み敷いた。
手を伸ばしてその体を抱きしめるロイは、驚くほど綺麗な笑みを浮かべて見せた。