碧井あお様の日記語りにヒントを頂きできたお話です。
私の日記絵1月8日〜10日のエドロイ落書きがベースになっているそうです(^^)

ということで、最初から最後までそれだけなので、苦手な方は引き返して下さい。



























*so sweet (R18)



「――――つ、」

促すように直接与えられた刺激に堪えきれず、小さく喉を鳴らして、ロイは自身を解放した。

きゅうと身体の末端が痺れるような感覚に襲われる。
つま先でシーツを掻くと、遅れて少年もロイの中で達したのを感じた。

息を詰めて彼の衝動を受け止める。

少年と肌を合わせるのはもう幾度目かだというのに、やはり裡側を濡らされるこの感覚に慣れることはない。
きつく眉を寄せることで、悪寒に似たそれをやりすごした。
彼を中で受け止めるのは構わない。
心地よいわけではないが、そうしたいならばあえて拒絶する理由も無い。

だが、それよりもロイは少年の指で導かれることを良しとしていなかった。

彼を受け入れたまま、半ば無理矢理に追い上げられるのは、それなりの負担が伴うのだ。

以前は少年だけを導いてロイは終わらない、ということもままあったのだが、いつからだろうか。
触れるなという制止にも関わらず、エドワードはロイの熱を指で追い上げながら、その中で達するのを好むようになった。
少年を受け入れたまま追い上げられると、裡側がひどくきつい。
足先までじんと痺れに似た感覚が残り、終わった後、乱れた息が整うまでしばらくの時間を必要とするのだ。
単純に身体の負担が大きくなる。

そんなロイの心裡も知らず、先に息を整えたエドワードは、まるで恋人にでもするかのようにそっと顔を寄せた。

「大佐」

ついばむようなキスが降ってきて、ロイは目を閉じて受け止める。
少年の律儀さに、ほんの少しおかしさがこみ上げてくるが、ここで笑っては彼の機嫌を損ねるだけだ。
それよりも、濡らされた場所が気になって、ロイは早く彼が腕を解いて解放してくれないかと考える。
察したわけでもないだろうに、エドワードはロイの目にかかった髪を払うと、ゆっくりと身体を退いた。
ずる、と抜け出て行く熱に、肌が粟立つ。
これも、未だ慣れることのない感覚のひとつだ。

「く……ぁ、あ、鋼、の……?」

てっきりそのまま退いてくれるものだと思っていたものが、再びロイの中へと押し込められた。
先ほどの比でなく総毛立ったロイは、閉じかけていた場所を開かれて、思わず少年の名前を呼ぶ。

けれどそれに構わず、幾度かあやすようにゆっくりと腰を送り込んだ少年は、ロイの手首をシーツに再び縫い止めた。

「中、すごく気持ちいい」
「私は気分が悪い……っ」

少年の欲熱は、未だ強ばったままロイの中にあり、自身の放ったものを塗り込めるようにゆるりと円を描く。
びくびくと肩を震わせて、ロイは剥き出しの神経を嬲られるようなその感覚に耐えた。

「気持ちいい、の間違いだろ?」
「馬鹿なっ……」
「だってアンタの中、すごい」
「殴るぞ」

拳を握りしめて少年を睨みつけた瞬間、

「うあっ………、あ―――」

一番感じる場所を、強く抉られた。
達したばかりの身体は貪欲に刺激を貪ろうと少年を包み込んでうねる。
自分でも分かるくらいの反応に、ロイは頬に朱を走らせた。

「ほら、アンタだって気持ちよさそう」

反応しつつある前へと触れられて、ロイはきつく唇を噛んだ。
羞恥なんて今更感じるものでもないが、刺激に従順な自身の反応が少しだけ恨めしい。
そもそも少年を好ましく思っているからこそ、触れられれば心地よくて抱きしめたいとも思う。

けれど、戯れのように触れられるのは我慢ならなかった。

「早く抜け、鋼の」

力の入りづらい足を突っ張って身体をずり上げるが、手首を押さえられた体勢では、エドワードから完全に逃れることは難しい。
いっそ殴ってやろうかと不穏なことをロイが考えた時、

「見せて」

エドワードの声が、考えを巡らせているロイの思考を遮った。

「何を、だ」
「アンタが自分でしてるところ」
「ばっ……」

カッと目の前が熱くなる。
何を言い出すのだこの子どもは。

「アンタって、最中でも声抑えてるし、いくのだってあまり好きじゃ無いだろ」
「好きとか嫌いとか、そういう問題じゃない」

身体へ負担がかかるのだとは言えず、ロイは黙り込んだ。

「俺はアンタにも気持ち良くなって欲しい」
「私の事は構わないと言っただろう」
「構わなく無いよ」

ほんの少し、エドワードの顔が歪む。
おや、とロイは首を傾げた。
少年ののぞむままに身体を重ね、彼が求めればそれに応じるようにしている。
それなのになぜ彼はこんな顔をするのだろうか。

「俺が触るのも本当は嫌なんだろ?」
「嫌、というか……」

そうではないのだ、とは明確に否定できず、ロイは僅かに目を逸らした。

「だったらさ、アンタが自分で気持ち良くなって」
「だからどうしてそういう話になるんだ」
「だって、このままじゃ嫌なんだろ?」

そう言いながら、エドワードは埋めたままの腰を揺らめかせた。
湿った音が繋がった箇所から聞こえてくる。
ぐちゅ、と聞くに堪えない音だ。

「うあっ………や、め……!」

冷めていく体温とは裏腹に、刺激を送り込まれると感覚だけが鋭敏になってゆく。
ロイはそうすれば逃れられるとでも言いたげに、きつく首を捻って目を逸らせた。

「俺に気持ち良くされたくないってんなら、仕方ないじゃねーか」
「気持ち良…く、ならなくても」
「俺だけってのは嫌なの」

少年はロイを覗き込むように額を近づけた。

「俺はアンタに包まれて、すげー嬉しくて気持ちいいよ。
 アンタにも同じように感じて欲しい。だからこれは妥協、っていうか、折衷案」

一体彼は何を言ってるのだろう。
ロイはまじまじと少年を見上げた。

「このままもう一回アンタがいくまでしてもいいし、」
「あっ………」

ひどく敏感な場所に、張りだした少年の熱が押しつけられる。
そこを刺激されると、背筋に何かが走り抜ける感覚が幾度も襲うので、ロイの最も苦手な場所だ。

「それかアンタが自分の手でコントロールして、気持ち良くなってるところを俺に見せてくれるか、どっちがいい?」
「…………」

からかうような光がその目に僅かでも認められたなら、ロイはエドワードを殴ってベッドを降りただろう。

しばらくの沈黙の後、ロイは捕まれている片手に力を込めた。

「何…?」
「放せ」
「大佐」
「自分でしてみせれば良いのだろう?……まったく、悪趣味だな」

ため息とともに言えば、少年は素直に拘束を解いた。
そしてゆっくりとロイの上から身体を退く。
濡れた音と共にロイはようやく解放されて、大きく息を吐いた。

「キスをしろ」
「ん」
「私が気持ち良くなれば良いのだろう」

上半身を起こしたロイは、少年の頭を片手で引き寄せると、その唇を重ねる。
さすがに正視されるのはいたたまれないからだ。
エドワードは素直にそれに応じると、目を閉じてロイの口づけを受け入れた。

ロイの方から忍んできた舌が、エドワードの歯列を割る。
迎え入れたエドワードはその舌先を軽く音を立てて吸った。
びくん、とロイの肩が震える。

「んっ………」

繰り返される湿った音が、ロイの手の動きと共にエドワードの耳にも入ってきた。
ロイが自分の手で熱を慰めているのだ。
くちゅり、ぐちゅりと音を立てながら、ロイは自身に指を絡め続けた。

口づけは解かない。
差し込んだ舌は引きずり込むように吸われて、根本へと緩く歯を立てられた。
少年の舌先はロイのそれをぐるりとめぐるように動いた。

自慰なんてもう幾年ぶりだろうか。
その必要を感じることは殆ど無かったからだ。
ましてやここしばらくは少年と肌を合わせることもあり、なおさら自ら触れることなど無かった。

だからだろうか。
いくら指先で追い上げようと試みても、もどかしいばかりの感覚が押し寄せるばかりで、一向に頂上が見えてこない。

少年とキスを交わしながら、ロイは次第に焦りを感じていた。
承諾した時点では、単純に自身で追い上げてみせれば彼もすぐに納得するだろうと踏んでいたのだ。
幾年ぶりにせよ、経験のあることだ。
そう難しいことではない筈だった。
既に反応を示していた自身の熱を、あと少し追い上げるだけで良いはずだった。

「たい、さ…?」

キスの反応が薄くなったのを不信に思ったのだろう。
エドワードが不意に顔を離してロイを覗き込んだ。

「見る、な……馬鹿者ッ…」

指先には確かに先走りが絡みついている。
だがはっきりと欲の形をとっているそれを懸命に追い上げているのに、あともう少しが足りない。
頂点が見えない。

「苦しいのかよ?」
「ちがっ……」

どうして達することができないのだろう。
肉体だけの興奮を追い上げるなんて、誰でもやっているし自分も当然してきた事だ。
なのに重たい熱は下腹部にわだかまったまま、その出口を見つけられずにいた。

きつく目を閉じて、自分の欲を幾度もなぞり上げる。
その度に確かに快感は走るというのに、極めることは出来そうになかった。

「辛そう…だ、」
「な、に」
「ごめん大佐。後で殴られるから」
「え」

次の瞬間、ロイは思わず目を見開いた。
ぞくぞくと背筋が震え、総毛立ち、全身が突っ張る。

エドワードの指が、ロイの奥底へと侵入してきたのだ。

ぐしゅと粘った音をたてて、エドワードの指が突き立てられる。
いつの間に濡らされたのか、さしたる抵抗もなくその指は深くロイの身体に沈んでいった。

「う、ぁあ―――――ッ」

背をしならせて、ロイは絶頂を迎えた。
あれほどに遠かったものが、あっけなくエドワードの手で与えられる。

びくびくと震えながら、幾度もロイは欲望を吐き出した。
目蓋の裏ではじける光に息が止まりそうだ。

エドワードはそんなロイの肩をきつく抱きしめると、きつく首筋へと歯を立てた。

「痛っ……!」
「ごめん、大佐、俺――」

そのままエドワードの熱が再びロイの中にねじ込まれる。
まだ快楽の余韻も去らない身体を、激しく揺さぶりながら腰をうちつける。

「鋼の、ッ………く、ぁ」
「大佐、…たい、さ……!」

極めたばかりで幾度もきつい収縮を繰り返す裡側に、程なくしてエドワードは再び自身の熱を解放した。
どくり、と少年の欲がほどけて中が濡らされるのを、ロイは目を閉じて受け入れた。
だが、先刻感じたほどの不快さはない。
むしろ、余韻に震える少年の熱を、心地よいとさえ思い始めている自分に、ロイは気づいた。


「ごめ、……ん、大佐」
「……馬鹿者」

肩で荒い息をつきながら、ロイは自分に覆い被さる少年の背に、ゆっくりと腕を回した。

「大佐」
「キスを、しろ」

尊大な口調にも関わらず、少年の心配げな顔は一気に明るくなった。
降ってくる口づけを受け止めながら、ロイはもう一度「馬鹿者」と少年を罵った。


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